②スターリン主義について(下)
2011-01-18

あけましておめでとう、諸君!! 久しぶりだな! もちろん、私だ! 社会科学研究会だ!
さて、最初にひとつ謝らなければならないことがある。本来であれば上下編にするなら上と下のアップにそんなに間を開けるべきではないのだが、デモなど本ブログの本流のほうがアップされていた関係で、われら傍流は引っ込まざるを得なかった。デモは前々から予定されていたので、こうなることは予測がつくはずだったにも関わらず、正月の三が日の間にやらなかったことを反省しなければならない。諸君に陳謝したい。すみませんでした・・・。
さて。気を取り直して、今回はスターリン主義について(下)だ。前回言った通り、今回明らかにしたいのは、スターリン主義の成立理由およびそれが全世界を覆った理由、そしてそもそものその体制の破産性についてである。
まずはスターリン主義の成立理由だが、これには、前回の部分も少々絡むが、どうやってスターリンが自己の権力を確立し、古くからのボリシェビキの反対を抑え込んだかを明らかにするべきだろう。
条件① 最も優良な党員の大量死亡
これが最も大きな理由である。ロシア革命後、帝国主義各国は革命を防ぐために即座に戦争を終結させた。そして、第一次大戦によって荒廃し、厳しい状態にあった国内の全余力を使って、即座にチェコ兵救出を名目とした連合を組んで革命ロシアに戦争を挑んだのである。これが歴史の教科書でいうところの「シベリア出兵」である。さらにここに白衛軍、つまり元ブルジョアや軍人が率いる反革命軍が内戦を開始する。ロシアの労働者は、内と外の二重の敵と闘わなければならなかった。
ロシアの革命軍と労働者は良く闘った。軍事力学的には防衛しきれる可能性はまずないほどの重包囲の中、ボリシェビキの募兵に目標募兵数の三倍が応じ、さらに自らが軍隊内の選挙で選んだ信頼する指揮官の下、高い士気でこの戦争に勝ち抜いた。それはひとつの奇跡であった。
しかし! もちろん戦争は厳しく、この過程で最も激しい時期の革命運動を担いぬいた優良なボリシェビキが大量に前線で闘い、結果戦死してしまった・・・。革命運動の過程で、最も労働者に信頼され、選ばれた彼らが前線で指揮を行う以外、ロシアはこの戦争に勝ち抜けなかった可能性が高いことは事実であるが、これがボリシェビキ内の腐敗を生みだす第一原因である。
1917年の革命の過程で最もがんばった人間たちが死に、逆にその革命の過程で消極的にふるまった人間たち、スターリンを代表とする人間たちの党内における比重が大きくなってしまったのだ。革命的な層が死に、日和見的な層だけが生き残ってしまったのである。ドイツ革命が敗北に向かう中で、そのような連中が影響力を持ちやすい状況だったことも大きい。
条件② 内戦による書記局機能の強大化と腐敗
スターリンは、個人としては非常に事務能力の高い人間だった。一説には、10万の党員の名前・顔・経歴を暗記していたらしい。その能力を買われて、彼は書記長として書記局を任されていた。そして、白衛軍との内戦の過程で、それに勝ち抜くために書記局機能が強化され、書記局は自ら党員を募り、それらの人々の党への加盟の可否を決定する権限まで持ったのである。1921年に内戦が終結に向かった時、レーニンの提案で「書記局機能、特にチェカ(反革命阻止委員会)の権限縮小」が行われたが、荒廃する経済対策など重要政策に関わっているうちに曖昧になっていた。そしてレーニン死後、「レーニン逝去記念党員募集」として20万人の党員をスターリンは募集する。
革命後になって、出世欲に目がくらんだゴミ共が大量にスターリンの下に集まり、こいつらが官僚としてスターリンを支えていくのだ!
この後、トロツキーがその組織論のなさ、無責任さで敗れ、その後にはジノヴィエフが「プロレタリア独裁が党の独裁になっている」として闘うものの、皆敗れていく。
そして、ジノヴィエフの敗北をもって、歴史は決定的な段階を迎える!!
なぜか!? 本企画の①革命と暴力を思い出してほしい。共産主義者の資本主義に対する「攻撃」とは全世界での革命運動の高揚である。だから、共産主義者は軍事力による資本主義国家との対決という方針は基本的にはとらない。国境線を守るための自衛戦力を確保するだけである。ジノヴィエフの敗北は、コミンテルンのヘゲモニーをスターリンにとられることを意味し、それは世界革命の実践的放棄を意味した・・・。
そして、コミンテルンは急速に変質する。ドイツ革命の敗北を受けて世界革命をあきらめたスターリンの、独自権力を維持するための「一国社会主義論」が「革命ロシア・ボリシェビキの権威」をもって全世界に流布されていく。第2インターナショナルの崩壊以降、分裂し、自らの路線を持っていなかった各国の共産党はロシアを守るための機関に変質させられていく・・・。ある国(ドイツ)ではむきだしの暴力で、ある国(日本)では1から「共産党」をつくることで、革命を起こした国(中国など)にもその過程で影響力を持つことで。そして最後には自らの「官僚の王国」の国益を守るためにファシズムや帝国主義とまで同盟を結ぶのである。彼らは、各国の労働運動を自国防衛の政治的力としたり、もしくは労働者には社会を運営する力がないとして「党が君たちのために政治をやってやるから一票入れろ」とし、労働者の決起を押しとどめて世界革命を阻むのである。去年暮れのCCUのストをやめさせたのは誰だったか思い出してみたまえ、諸君!!だから、われら社会科学研究会は、第二次世界大戦後の世界を「帝国主義とスターリン主義の相互依存によって成り立ってきた」とみなしている。資本主義・帝国主義は、スターリン主義を「社会主義の現実形態」とすることでマルクス主義思想を歪めることに成功してきたのだ!
しかしながらスターリン主義国家は必ず破産する(スターリン主義党は資本主義体制の補完物になるが)。そもそも「一国社会主義論」はスターリンが「世界革命を目指さない」ための議論だ。それにはマルクスやレーニンが形成してきた「資本主義・帝国主義の経済分析」が抜け落ちているのである。結果から見よう。
スターリン主義国家は歴史的に二つの破産の道をとったし、とりつつある。
①ソ連型の破産
資本主義とは、世界市場と一体である。資本主義の巨大な生産力の本質は、市場競争の結果としての世界的な分業にある。大規模な機械を使った工業はその結果生じたものの一つである。ゆえに、自らを世界市場から切り離し、一国規模で行う経済は必然的に経済力が弱くなる。ありていにいえば、一国社会主義国は貧乏である(笑)。ベトナムの民族解放闘争の指導者ホー・チ・ミンの「貧乏だけれど平等な社会」という言葉は、それの本質をよく捉えた言葉である。彼がスターリン主義を乗り越えることができなかったのは残念だ。
さて、これがどうしてソ連型の破産につながるか? 資本主義の侵略から自らの国家を守るために、スターリン主義諸国は資本主義に軍事的に対抗しようとする。それは、地理的に近い場所にある資本主義国の基地を攻撃したりする力まで持たなければならないことを意味する。現在の中国であれば、米日の中国の勢力圏への侵略に対抗するため、東アジアでの軍事力を強め、沖縄の米軍基地を攻撃する力を持つ必要に迫られるわけだ。そして、軍事のための財政は経済的余剰からしか生まれない。つまり、一国社会主義国は軍事費でパンクするのである。ソ連は、それまでの危機をはらんだ状態でアメリカのレーガノミックス(軍事拡大政策)に対抗して軍事費を拡大し、パンクした(笑)。キューバや北朝鮮がこれにあたるが、北朝鮮は近年、次の②の方へ向かっていると思われる。
②中国型の破産
一国社会主義はパンクする。ではどうするか? 簡単である。世界市場に門戸を開けばいいのだ。中国は、自らの国の労働者を帝国主義が低賃金でモノを作るための道具にし、経済成長を果たした。しかしその結果として、国営企業の経営者は皆党員である状態が作りだされた。そして共産党自身がブルジョア化してしまったのだ! 中国は見ればわかるように、今のままではこれからどんどん「社会主義的な要素」を失い、ついには帝国主義へと変わっていくだろう。この道をとっているのは、他にはベトナムがわかりやすいだろう。
ちなみに、我々としてはどちらであれ結論は変わらない。中国が帝国主義になろうが、スターリン主義のままであろうが、中国の労働者と団結し、反革命政府を打倒することを目指す。
共産主義は、資本主義の強固な土壌の上に、資本主義が作りだした条件の上に成立する! そもそも資本主義もまた世界革命だったのだから、それは世界革命でしかありえない! 全世界で革命が成功し、全世界でブルジョアの存立条件を奪うことによってしかプロレタリア革命は完遂されない。そこには資本主義が抱える、大きすぎる生産力による恐慌は存在せず、農業と工業の対立は消え去り、人類は資本主義では考えられないほどの生産力を手に入れるだろう(ここらへんはいずれ語ろう)! そして世界から市場や国益をめぐる対立もなくなり、軍事は単なる無駄な費用となり、戦争のために必要なもの、基地も、核も、すべての武器は博物館へ行くだろう! そのとき初めて国境は消え去る。それまでは資本主義諸国と革命に成功した諸国との国境は厳然と残る。もちろん、世界革命に成功したとしても、その過程で歴史的に決まった文化圏や言語圏は残るだろう。各民族の特質も消えはしない。それらが統合されていき、ひとつの世界文化が創りだされるには世界革命後にこの世に生を受けた世代でなければ不可能であろう。現代に生きる共産主義者は、今やれることをやるだけである!!
万国のプロレタリア、団結せよ!!
諸君、今回のまとめだ!
①スターリン主義は、マルクス主義やレーニン主義を歪めたものにすぎず、それは経済的根拠を持ちえず、必ず破綻する
②スターリン主義は、「世界革命をしない」ことをもって資本主義体制の補完物になる。ゆえに、現代では世界革命の路線は「反帝国主義・反スターリン主義」である
では、次回は「マルクス主義における国家論」である。アディオス!!
おまけ:社研の言葉
U海「人は、タバコ・コーヒー・コーラ・マックで生きていける」